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Healing Essayヒーリング・アーツとともに

短気をいやす! レット・オフによる悠然養成法

 短気は損気、という。
 しからば、あなた方に問う。短気をいやす道とは如何(いかん)?
 そのような問いが、真剣を振り下ろすような気迫をもって私に向け発せられたなら、私は以下のフォーミュラをもって即応する。

[フォーミュラ1]
 もっと短気になって、それをレット・オフ。

 これは悠然養成法だ。あくせく焦ることの中へと、粒子的・意識的に入っていき、その感触を、労宮を中心として開かれた手で感じる。焦っている時、手はどうなっている? 焦りを手で感じてみるように。焦りにおける手のBeing(編注:ビーイング=あり方)をわずかに強調したなら、それをオフにするのだ。
 この瞬間より、自分からは動こうとせず、かといって固まってしまうのでもなく、「待ち」の態勢に入る。全面的受け入れ態勢だ。それが同時に、「内向」となる。
 待ったから内向するのではない。内向によって、待ち受け状態が起こるのでもない。両者は1つのものを表わす別の名だ。
 悠然と私が言った意味がわかってきただろう。あなた方の顔に深い驚きと喜びの表情がゆっくりと拡がっていくのが、私にはほとんど観えるようだ。
 慣れてきたら手だけでなく、顔や目など、様々な箇所で「焦り」を感じ、レット・オフしていくといい。

『ドラゴンズ・ボディ 第3回 陰』(文/高木一行)より抜粋

 

 ヒーリング・アーツの基礎であり極意でもある<レット・オフ>は、ありとあらゆることに応用可能ですが、体だけでなく、精神を鍛えることもできます。
 一般的な「ヒーリング」のイメージでは、精神を「鍛える」という言葉は使われないと思います。
「なんとなく癒された」「心地よくなった」といった、曖昧な、ともすれば「気のせい」と思える程度の変化ではなく、明らかな「変容」をもたらすのが、ヒーリング・アーツです。

 最初は、精神が高ぶった状態(焦りや不安、怒り、焦燥などを感じている)では、ヒーリング・アーツ初学者の方がレット・オフを活用して「悠然と」なることは難しいかもしれません。
 普段日常生活の中で、こまめにレット・オフ感覚を磨いていると、いざという時、ピンチの時に、レット・オフがどれほどの恩恵をもたらしてくれるかを実感できるはずです。

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 2018年10月に届いた夫からの手紙(『刑務所より愛を込めて』)では、刑務所内で繰り広げられている非道な人権侵害に異を唱えるため、「出役拒否」したことが綴られています。

 

 その後夫は、懲罰房へと移されて1週間の「反省」期間(独房で一日中座りっぱなしの罰)を経て、山口刑務所の収監者の中でも問題児たちが集められる工場へと配属されました。
 そこは刑務所の中でも「最悪」な環境だと推測されます。
 ところが先日、夫から手紙が届き、最近突如、別の拘置所へと移送され、囚人たちの食事の準備、衣類の洗濯、施設の清掃などを担当することになったそうです。
 この職務は「刑務」ではないので、看守の怒鳴り声もなく、優等生(模範囚)の中の優等生だけが選ばれる、誰もが憧れるポストなのだそうです。
 食事の質も改善され、テレビ番組もたくさん見られ(消灯以降の番組を録画できるようBDレコーダーまで使える)、お菓子も食べられ、防寒用のこたつまで支給されるとのことです。
 以前から夫が興味を持っていた調理の仕事を実践的に体験・習得できる機会ともなり、まさに千載一隅のチャンスが巡ってきたと本人も喜んでいます。

「出役拒否」した囚人が、最高のポストを与えられる・・・このような出来事がこれまであったのでしょうか? 
 私にはまさに「奇跡が起こった」と感じられる出来事です。

 夫の生き方、あり方のベースとなっているのがヒーリング・アーツであり、どんな時、場所であっても自らの信念を決して曲げない強さを養うことができるのが、ヒーリング・アーツなのです!

 ちなみに、刑務所事情に詳しい方からの情報によると、刑務所から拘置所へ移動できる特例は、今まで一度も見たことがないそうです。

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Healing Photograph 『クレステッドゲッコー のTerra[テラ]』 撮影/高木美佳

クレステッドゲッコー (和名:オウカンミカドヤモリ)の、まるでアニメキャラクターのように面白く、可愛い様子。