Healing Essayヒーリング・アーツとともに
<手ほどき>実践報告
ヒーリング・アーツとは、人生を活気づかせる法だ。人生という波の上昇時であれ下降期であれ、穏やかな歓びに満ちた状態を、心身の最も根源的なレベルで励起する。その入門メソッドがヒーリング・タッチだ。ヒーリング・タッチは触れ合いの芸術[アート]であり、触れ合いを深遠なるいやしの営みへと変容させる秘法だ。
高木一行著『奇跡の手 ヒーリング・タッチ』より
ヒーリング・タッチを修得した中級者以上になると、ヒーリング・タッチで人と触れ合っただけで、相手の状態が鏡のように自分に映ってきて、直感的に相手の体がどうなっているか、どこが固くなり、どこが滞り、どこが柔らかく開いているかがわかるようになります。
そこまで感覚が開かれるようになるまでには、相当の鍛錬と長年の継続が必要になりますが、しかしヒーリング・タッチを正しく実践すればどなたでも、このような感覚を養うことができます。
最近、私たちNPO法人ヒーリング・ネットワークの課題として、メンバー全員でひとつのヒーリング・アーツのわざを実践しよう、という課題を設けました。そして、『奇跡の手 ヒーリング・タッチ』でも紹介されている<手ほどき>というヒーリング・メソッドを1週間、継続して実践しましたので、この場でご紹介したいと思います。
手ほどきは、一定のフォーミュラ(公式)にしたがって、手(および全身)を細やかに振りほどく修法です。
実際に<手ほどき>を極めるとどのようになるのか?
夫による教示事項をご覧下さい。
◎揺さぶりをかけると、やがてバラバラの細かい塊が身体内でたくさん感じられるようになってくる。1つ1つが握り拳くらいの大きさになり、さらに振り続け、揺さぶり続け、振るえ続け、禊[みそぎ]し続けていくうちに、大粒の真珠が体の中で揺れ動いているくらいにまで感じられるようになれば、結構緩んできたといえる。 だが、ヒーリング・アーツの志し手は、この程度で満足して立ち止まったりなどしない。もっと振るえ、さらに振るえ、徹底的に振るえ、・・・・・同時に委[ゆだ]ね、任[まか]せ、受け容[い]れ、待つのだ。
◎球体が無限に小さくなった粒子のレベルまで細かくしていく。ドット(点)ではなく粒子だ。実際には、そうした粒子感覚こそが、余計な不自然的力みがすべて抜け去った後に残る、私たちの自然なボディ/マインド感覚なのだ。
『奇跡の手 ヒーリング・タッチ』手ほどきの項より
以下は、夫のもとで10年以上に渡り修養を積んできた、ヒーリング・アーツ・トレーナーによる報告です。やや高度な内容もありますが、『奇跡の手 ヒーリング・タッチ』を読まれ、<手ほどき>を実践している方々の参考になるでしょう。
<手ほどき>実践報告
報告1
最近かなり仕事が忙しい状態が続いていましたが、合間に「手ほどき」を実践すると身体が楽になるのを感じました。
デスクワークが多いため、長時間仕事をしていると首や肩に違和感がでてくるのですが、知らず知らずのうちに手が凝ってしまっていたことが大きな原因になっていたようです。
手をやわらげると全身のバランスも整い、精神的にも余裕がでてくるので仕事の能率が上がって疲れづらくなりました。
(佐々木亮 神奈川樂会)
報告2
一週間じっくりと、「手ほどき」に取り組んでみました。
雑多な日常の為すべきこと(doing)に気を取られるばかりで、それ以前の自分という存在(being)そのものに気を配り、過度の緊張や疲労をレット・オフし続けていくことで、将来の深刻なトラブルの種を消し去っていけることをついつい忘れてしまっています。
手ほどきを生活の中に取り込むことによって、部分と全体の対応関係(掌を緩めることで全身に緩みを波及させる)、肉体と精神の相関関係(体を緩めれば心もリラックスできる)を活用し、そうした課題に対処していく可能性を、あらためて確認いたしました。
(水野幸司 ヒーリング・ネットワーク東海)
報告3
毎晩一回につき数分間、ヒーリング楽曲を流しながら行ないました。
(実践初日)
「手ほどき」を開始して初めのうちは、振っている手及び腕が重く感じられ、全身との繋がりがありませんでした。このことにより日常生活の中で知らず知らずのうちに身体が凝り固まっていっている事実に気付かされることとなりました。合間に柏手を打ちながら「手ほどき」を実践し続けていくと、次第に手の内部の粒子的な感覚が高まり、柏手を打つ音も非常に良い響きになりました。わずか数分間の実践とはいえ、初日は手を振り解き続けるのが非常に長く感じられました。
(二日目~六日目)
「手ほどき」による手の粒子感覚が腕を通じて体幹、そして脚へと伝わるようになり、身体の柔らかさが増すこととなりました。身体の、特に内部がクリーム状になったかのごとく感じられ、また実践時間の数分間がすぐに終わってしまうように感じられてきました。
(七日目)
「手ほどき」の実践中、動きに安定感を覚えたため、身体を観察してみると、凝り固まっていた足裏が柔らかく緩んでいることに気づかされました。足裏があたかも液状化したかのごとく感じられ、足元がしっかりと床に密着することで身体動作の安定感、そして身体の統一感を覚えるようになりました。
(外側の環境への影響)
身体の滞りが減少することにより、日常生活にも好影響がもたらされました。「手ほどき」を実践した1週間は、職場での人間関係において摩擦や軋轢が生じることがなく、また仕事自体も、忙しいがためにやりたくても出来なかったことができるようになったりするなど、いろいろな場面での円滑化現象が生じました。身体の滞りが即外側に現象として表れることを考えれば、合点が行くことであると思います。
「手ほどき」はヒーリング・アーツの基礎をなす大切なメソッドであることを改めて実感した次第です。
(平川晋一 神奈川樂会)
報告4
「手ほどき」を1週間、毎日実践してみました。時間は1日数分を数回程度と毎日仕事をしながら継続するのに困難でない程度行ないました。
実践に先立ち『奇跡の手 ヒーリング・タッチ』の「手ほどき」の頁を改めて読み直してみました。「手をゆっくり柔らかに揺さぶり始めます。ただし、どこにも無理な力を入れません。腕や体は、自然に揺れ動くに任せます。・・・」という文章が目に飛び込んできました。以前から実践する過程で無意識に、手や腕に力を入れて振ろうとする動きになってしまっていたことに気づきました。余談ですが、『奇跡の手 ヒーリング・タッチ』は読み返すごとに新たな発見や啓発がある味わい深い本だと思います。
毎日、柔らかく揺さぶることを続けていると寒さのために硬くなりがちな体が徐々に柔らかくなってくるのが感じられました。ある日には手ほどきの後しばらくして、自分のものとも他人のものともわからない恐れや悲しみといった感情が溢れて流れ去っていくような体験をしました。感情を感じなくするためにも体が固まってしまうのだという心身一体の理解が深まりました。
手ほどきを続けていると仕事中の動作がスムーズになり体が動きやすくなる感覚と頭の働きも良くなる実感がありました。これからも折りに触れて実践していきたいと思います。
(東前公幸 ヒーリング・ネットワーク関西)
報告5
「手ほどき」一つとっても、どこを意識して振るのかという点でみました。
指先を意識して振ったり、手の中心を意識して振ったり、手首を意識して振ったりといろいろと試してみますと、指先だと手の解けるといった感じが乏しく感じられました。振るという動作は一方向に行なってしまいがちですが、手の中心を意識して振るとき、振り子のように動いているわけで二方向に振るように意識しました。そうするとこれまで注意して振っていなかった方向に対しても意識されるので全体のバランスが調整されていくのが感じられました。これまで振っていた動作が自分で決めつけていた動作でしかすぎなかったということがわかるのですが、手首を支点にして振れば、手そのものに余計な力が入らないため、よりよく解けるのが感じられました。腕や肩に対しての緊張も手そのものを意識して振るよりも解けるし楽に振ることが実感できした。
さらに、「手ほどき」を毎回同じ姿勢で行っていないかという点にも着目し、手を左右に振るのみならず、前後、上下と振る方向を様々に変えながら振ることで、振るという行為を自分で決めつけないようにしていくと、手ほどきとはいえ全身に対してもその影響が波及していくことが感じられました。手ほどき一つ取っても奥が深いことを実感できました。
(帆足茂久 ヒーリング・ネットワーク九州)
報告6
柏手を打ち、手の中に感じるジンジンとした細かい粒子感覚を振るようにしたのですが、手の重苦しさがなかなか抜けず、何故だろうと考えていました。
すると、手の骨に力を入れて手を振ろうとしていることに気づきました。
以前、先生から「骨に力は入らない。」という教えがあったことを思い出し、骨に力を入れて振ろうとするコマンドをレット・オフしながら手を振るようにいたしました。
すると、手が突如として軽くなり、手の中の液体を揺れ動かしているように感じました。
改めて、柏手を打ち、ジンジンとした粒子感覚を感じながら、手を振っていると、手の中が細かい粒子で満たされ、粒子そのものの揺らめきが手の動きを司っているように感じられました。
その時、粒子感覚の基本はこの手ほどきにあるのだということを改めて思いました。
手ほどきを日々実践していると、体中の様々なところに力みや強張りがあることを感じるようになりました。それらの力みや強張りを手ほどきから生じる波紋で緩めるようにすると、心身ともに軽快になることを感じました。
(渡邊義文 ヒーリング・ネットワーク関西)
報告7
手ほどきを始めてすぐ、仕事の影響か手や手首の骨に痛みがあるのが自覚でき、ある振り方ではそうでもないが別の角度や方向に手を振ると痛みが強まったり、なかなかほどけない肉や骨がひとかたまりになって感じられる部位が浮かび上がってきていました。
そういった時、やや力を入れて強調し、それから外に振りだすというより裡に溶け出していくようにゆるめつつ振り続けると、体内が液体になって全身に波が伝わっていくのが感じられました。
痛みやこわばりが起きている所が緩和されていきます。
毎日数分というペースで行なっていたのですが、終わった後は粒子の細かい粒が液状になって全身に満ちているというような感覚となっていました。
(道上健太郎 ヒーリング・ネットワーク山口/毘沙門会)
写真:Healing Photograph スライドショー1-11<奇跡の手>より『蓮華掌』
『奇跡の手 ヒーリング・タッチ』は、<Megami Marche[女神マルシェ]>のウェブサイトでご購入いただけます。