文・写真/佐々木奈緒子
5月の連休の頃から、市民農園で畑を借りて野菜づくりをしています。
コロナ禍で野菜を育て始めた人が多いそうですが、我が家も御多分に洩れず、緊急事態宣言中の出かけづらい状況での気晴らしと、以前から畑で野菜を育てることに興味があったので始めることにしました。
野菜づくりは初めてで、農薬を使わず有機肥料で育てる野菜がちゃんと収穫できるのか少し不安もありましたが、農園のスタッフの方に教わりつつ取り組めたため、思った以上に実ってくれています。
キュウリは暑さのせいか収穫期間が短かったのですが、ナス、ピーマン、中玉トマト、オクラは着々と実を付けてくれて嬉しい限りです。
もう収穫が終わりましたが、枝豆も採れました。
野菜の苗が小さいうちは、多少注意深くお世話をする必要はありましたが、ある程度育ってしまうとお世話することも減り、初心者向けの野菜を選んだこともあって意外に手がかからず、すくすく大きくなってくれました。
中玉トマトがまだ小さい頃、支柱を立てている時に誤って主枝(木の骨格となる枝)を折ってしまい、とても落ち込んだのですが、スタッフの方に「かなり丈夫だから心配しなくても大丈夫ですよ。」と言っていただいて、実際その後他の枝がどんどん伸び、トマトもたくさん実りました。
今では余分に茂った枝をザクザク切り落としているくらいです。
植物の生命力の強さに感心するとともに、収穫した野菜の美味しさ、味の濃さも味わえ、自然の恵みに感謝する毎日です。
土いじりをしていると、あっという間に時が過ぎ、気候が良いときには気が付いたら3時間以上経っていてびっくりしたこともありました。
野菜が育つ楽しさや喜びというのはもちろんありますが、土と触れ合うこと自体がいやされる体験だと感じます。
手で触れ合わなくても、土の上に立って、土の感触を味わったり匂いを感じたりするだけでも、気分が落ち着くような気がします。
母なる大地を身体で感じることは、人間の本能的な欲求の1つなのかもしれません。